いのうえメモ

時々、投稿しています。思ったことを書きます。自分用メモになりがち汗。

アクタージュ11巻とエヴァ

アクタージュの11巻を読んで思ったことを書きます。
ネタバレあります。

アクタージュは主人公の夜凪景が役者として活躍していく話です。
11巻では一つの舞台の主役をしていて、11巻は最初から最後までずっとその話が描かれます。

夜凪景は舞台の脚本家の意図で、不安定な状態になりつつ舞台で演じています。
そのせいか、夜凪景は演じながら葛藤を抱えていて、その時に、幼い時の自分の姿をした自分の別の言葉に惑わされます。
精神世界で過去の自分と話す、11巻の前半からセカイ系が始まります。

夜凪景は葛藤しながらも、大きすぎる才能があるためにその葛藤すらも演技の魅力に変えます。それが脚本家の意図でもあります。
しかしそれでも危うい状態でありますが、一緒に演じる役者のフォローもあり、舞台はぎりぎりのラインを保ちながらも、かなりの完成度で進んでいきます。

ですが、最後の最後、舞台の幕引きの時に、それまで心が崩れる寸前の、ぎりぎりのラインを保っていた夜凪景はついに限界を迎えて、それまで保ってきた自分の思う演技をやめて、ただ台本通りに動くという心のない演技をすることで、観客の望むわかりやすくてきれいな終わり方で、舞台を終わらせようとします。

その時に、舞台の中でもっとも夜凪景を理解しているだろう役者の王賀美陸が、夜凪景の演技をストップさせて、舞台の進行を止めます。
王賀美陸含む、この舞台の何人かの役者は、今の夜凪景の行動を許したら、夜凪景の役者としての将来に傷がつくとわかっていたため、全員の総意でこの行動をしました。

舞台を止めてでも、役者としての夜凪景の未来を守りました。

それによって、夜凪景は役者としてやってはいけないことをしようとした、と気付いて、そのために周りの役者に舞台を捨てさせたことに胸を痛め、その場で泣き崩れます。
それと同時に夜凪景は、それまで自分を乱していた幼い自分の言葉と分かりあうことができて、つまり自身の葛藤から吹っ切ることができて、最後に美しい演技をして舞台を終わらせます。

観客にはこの最後の最後に起きたことは理解できず、難解で、置いてけぼりにされた気分、ですが夜凪景が泣き出したため、夜凪景の失敗で起きたことだとはわかっていて、よくわからないけど最後の最後に舞台側の失敗を見せられたと思います。

自分は、この状況が、エヴァの最終回とそれを観た視聴者の姿に重なると感じました。
作者が、アクタージュのこの舞台の話に、セカイ系を入れてきたのは、
製作者のやむを得ない事情のために、視聴者が満足できないものを見せてしまうことはあっても、その裏側では色んな思いがあって、ふざけた思いなどはなくて、色々考えた結果、こうするのがベストだと判断した、という製作者側の舞台裏の事情を伝えたかったのだと思いました。

自分はテレビ版のエヴァの最終回を作った製作者の意図はわかりませんが、
アクタージュの作者はエヴァの熱狂的なファンではないかと思いました。
それも裏付けがないので、推測です。

以上です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。